トウガラシ(トウガラシ)の栽培方法。初心者でもトウガラシを種から植えて収穫まで上手に栽培する方法を写真付きで分かりやすくレクチャーします。
トウガラシ栽培
難易度 ★★☆☆☆
トウガラシはナス科の夏野菜です。トウガラシという呼び名よりもシシトウと呼ばれることが多いのですが、シシトウもトウガラシも同じ野菜です。正式には「シシトウガラシ」といいます。
トウガラシというと赤唐辛子をイメージしますが、シシトウをはじめ、ピーマン・パプリカもトウガラシの一種で色や大きさの違いによって呼び名が変わります。栽培方法はどの品種もほぼ同じです。
中でも赤系のトウガラシは色も綺麗でベランダのプランター菜園にぴったりの夏野菜です。
原産地は南アメリカという説が有力で、コロンブスがヨーロッパに持ち帰ったのが始まりです。日本には1542年にポルトガル人によって伝えられました。
トウガラシに多く含まれる栄養は、ビタミンCとカロチンなどです。辛み成分の「カプサイシン」は、新陳代謝を助ける効果が期待できます。
科目 |
ナス科 |
連作障害 |
あり(3~4年) |
土壌酸度 |
pH6.0~6.5 |
栽培スペース |
畝幅0.5m×0.5m |
発芽適温 |
25~30℃ |
生育適温 |
25~30℃ |
種まき時期 |
2月下旬~4月中旬 |
発芽日数 |
種まきから5~10日 |
苗植え付け時期 |
4月下旬~6月中旬 |
収穫時期 |
種まきから約3か月 |
種まき時期は3月から
苗の植え付けは4月から
収穫は7月から
トウガラシを栽培するときのプランターサイズは標準タイプ以上(60㎝~)で深型のものを利用しましょう。
トウガラシは根を浅く張る野菜で加湿を嫌うため、水はけの良い深型のプランターで育てると上手に育ってくれます。
トウガラシの栽培用土は市販の野菜の土を利用するのが簡単です。
自分で作る時は
赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1
それに石灰を用土10ℓ当たり10gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~30gを混ぜ合わせて作りましょう。
トウガラシ栽培で浅型のプランターを使う時は水はけを良くするために、メッシュ付きのプランターか鉢底石を底が見えない程度まで敷き詰めて排水性をよくしておきます。
プランターに入れる土の量ですが、鉢にいっぱい入れてしまうと水やりのときなどに周辺に用土がこぼれて汚してしまいます。
まし土をすることも考えて、ウォータースペースを残し、鉢の8分目程度まで用土を入れます。
プランター栽培で一番大切な作業は土入れです。一度に全ての土を入れずに空気と水がうまく通るように多層構造を目指しましょう。
プランター全体に水分と空気が行き渡り、野菜が元気に育つ環境を作れるかがポイントです。
作業手順
1.プランターの底に鉢底石(赤玉土大粒)を2~3cmほど敷き詰めます。
2.栽培用土を5cmほど敷き詰め、5本の指を立てて土に穴をあけるように隅々まで土を詰めます。手のひらで押さえつけないように。
3.堆肥と有機肥料、または化成肥料を入れ5cmほど栽培養土を2の手順と同じようにして入れます。
4.プランターの半分まで栽培用土を入れたら、水をたっぷりとかけます。
6.2と3の手順を2回ほど繰り返してプランターの7分目まで栽培用土を入れます。
7.最後に水をたっぷりとかけてプランターの底から水がスムーズに流れ出るかを確認してみましょう。
育てやすいトウガラシの品種には「伏見甘長」「万願寺トウガラシ」「八房」「ホットスカイ」「日光トウガラシ」「五色トウガラシ」などがあります。
基本的にどの品種でもよく育ちますが、種からは難しいので、株数が少ない時やトウガラシの栽培が初めての方は苗を購入して育てると良いでしょう。
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トウガラシの苗の良い苗は、色艶が良い本葉が8~10枚程度で、節間が詰まって全体ががっちりしていて茎が太いものです。
その中でも一番花が咲きそうになっているの苗を選ぶのがポイント。トウガラシは一番花が咲いている頃に植え付けるとます。
園芸店などで苗を購入する場合は、早い時期に売り出されている苗だと一番花が付いていないことがあります。
買ってからすぐに植えたいときは、一番花が咲いているものを選びましょう。
トウガラシは寒さに極端に弱いので気温が十分に上がってから苗を植え付けるのが上手に定植させるポイントです。
株間はプランター植えの場合は25㎝以上は確保し、畑植えの場合は40~50㎝の間隔で植え付けましょう。
株間が狭いと野菜が光量不足になるうえ風通しが悪くなって害虫が発生しやすく病気になりやすい状態になります。
植え付ける時は根鉢より少し大きめの穴を掘って、苗を指の間に挟んで根鉢を崩さないようにポットから抜いて穴にそっと入れます。
そのあとに周囲の土を寄せて子葉が地表に出る際まで浅めに植え込み株元を押さえて活着をよくしましょう。
植え付けた後はたっぷりと水やりを行ってください。
トウガラシの植え付け直後の苗は茎が細いため、風などで倒れてしまうことが良くあります。
転倒防止のために早めに仮支柱を立てて苗が倒れるのを防いでやりましょう。紐は結び目を支柱側にして8の字に交差させて支柱に誘引します。
トウガラシの枝は折れやすいので1番花が咲いて側枝が伸び始めた頃に約1mの本支柱に変えます。その後は成長に合わせて数か所か支柱に誘引しておきましょう。
プランター栽培では隣りの苗と枝が干渉してしまい日当たりが悪くなるので、主枝1本と一番花の下の枝を2本残し3本立てとしましょう。
畑で育てる場合は一番果より上の側枝は放置でかまいません。
その先は花の部分でどんどん枝分かれしていきますが、込み合っている葉のみ切り取って枝は放置して構いません。ちなみにトウガラシの若い葉は煮ると美味しく食べることが出来ます。
ただし、一番花が付いたところから下に出るわき芽はすべて摘み取りましょう。
トウガラシの1番果(最初になる実)を摘み取らずにそのまま残してしまうと、株が弱って生育が悪くなってしまいます。
植え付け初期段階で株を大きくすることが後の収穫量に影響します。株の生長を見ながら、1~3番果までは早めに摘果するようにしましょう。
トウガラシは地中に根を浅く張るため、乾燥にはめっぽう弱い野菜です。水やりは朝と夕方の2回、たっぷりと灌水してやりましょう。
土壌の乾燥を防止するために、株元に敷き藁やピートモスを敷いてやると良いでしょう。
プランター栽培の場合は新聞紙で代用しても構いません。
1番果が付いた時に1回目の追肥を行いましょう。肥料は根の先から吸収するので株元から少し離れた場所に与えるのがポイントです。
果実がつき始めたら1株あたり2週間に1回追肥を行いましょう。1回あたり化成肥料を約10g程度を株の周囲にばらまいて用土と軽く混ぜ合わせるようにして与えます。
液肥の場合は水やりを兼ねて週に1回与えてやります。トウガラシが収穫出来る期間は7月初旬から10月下旬までと大変長いので、肥料切れには十分に注意しましょう。
畑でトウガラシを栽培する時は元肥はそれぞれ1㎡あたり苦土石灰を150g、堆肥を2kg、化成肥料(15:15:15)を150gを施します。
追肥は2週間に1度のペースで、化成肥料を1㎡あたり30g、株周辺にまくか、畝の肩部分に施して土寄せをします。
畑でトウガラシを栽培する時は、窒素成分が遅く時期まで効きすぎていると未熟果が増えてしまうので、追肥は6月までとして後は元肥でじっくり育てましょう。
トウガラシは植え付けてから1か月半から2か月後、開花してからだと2週間~3週間で収穫の適期となります。
赤く色づいたものから順次収穫していきましょう。1本づつ切り取るか枝ごと切り取っても構いません。
トウガラシの枝は折れやすいので手でちぎり取らずにハサミやナイフを使ってヘタのすぐ上を切り取って収穫しましょう。
収穫したトウガラシは風通しの良いところで乾燥させれば長期保存が可能です。また、葉トウガラシとして利用する場合は、果実が青く小さいうちに茂っている葉を収穫しましょう。
トウガラシの栽培難易度は低めですが、種からは初心者には難しいので苗から育てましょう。
トウガラシは放任でも育てられますが、一番花が咲いたらその下から伸びる枝を2本と上に伸びる枝を1本の合計3本に調整すると収穫量がぐっと増えます。
トウガラシの実が曲がったりしわが寄ったりすることがありますが、肥料や水分不足によるものです。夏を超えた頃になると株が疲れてくるので、追肥(2週間に1回)と水やりをしっかりと行うようにしましょう。
トウガラシを栽培する時に発生しやすい害虫は、カメムシ類、テントウムシダマシ、ハモグリバエ類などです。
害虫の数が少ない時は見つけ次第除去して繁殖するのを防ぎましょう。定植時に防除粒剤を散布したりマルチなどを設置して飛来を防ぐのも害虫対策に有効です。
大量に発生してしまった時は薬剤を散布して駆除することも検討しましょう。害虫の被害を拡大させないためには早期に対策することが大切です。
トウガラシに発生しやすい病気は「青枯れ病」「ウイルス病」「斑点病」「疫病」などです。トウガラシが病気に掛かると、株が萎れる、葉が萎れる、葉が茶色く変色するなどの症状が現れます。
病害にかかると株が生育不良になり収穫まで辿りつけなかったり株が枯れてしまったりします。早めに対策をしましょう。
病害の予防方法としては、連作を避けて日当たりと風通しを良くするために枝の込み過ぎに注意しましょう。また葉の表面が濡れて多湿になると病害が発生しやすくなるので、葉に水が掛からないように丁寧に水やりを行ってください。
発病した葉は感染を防ぐために畑の外で処分しましょう。